子育て豆知識

こどもの急病時に、お母さんが家庭でできる対処法をご紹介します。

患者さんが考える緊急疾患

患者さんが考える緊急疾患

発熱、腹痛、頭痛、咳嗽、嘔吐・下痢、けいれん、発疹 などですが、医者が考える緊急疾患は、喘鳴(喘息)、けいれん、意識障害、3か月未満の乳児の発熱です。

熱に関する豆知識

熱に関する豆知識

発熱に対する誤解

熱が出ると肺炎になる?熱が出るとけいれんする?熱が出ると肺がやられる?
熱は下げないといけない?

熱は結果であって、病気の原因にはなりません
・脳炎→熱 ・脳炎→合併症 ・熱→合併症ではありません

熱は正義の味方

熱の原因の多くは感染症で病原体(細菌やウイルスなど)をやっつけることが感染症治療の近道です。

発熱の利点
・感染に対する免疫力が増加する
・病原体の活動性が弱くなる、つまり・・・・・・抵抗力>病原体
・この状態で熱を下げると、・・・・・・抵抗力<病原体
解熱剤を頻回に使った子と、なるべく使わなかった子を比べると、使わなかった子の方が早く治ったというデータもあります。

そうはいっても・・・熱の欠点

先天性心疾患やけいれん性疾患 などの基礎疾患のあるこどもは少し注意です。
熱性けいれんの可能性(6歳以下)
脱水にも注意

こどもがきつそうだったら、解熱剤の使用をためらう必要はありません。
でも、最低6時間は間をあけてください。熱は下がらないことも多いです。

脱水に注意→水分をとりましょう。たくさん飲ませなくてもいいですよ・・・
そうでなければ、大丈夫!!

熱への対処法

熱が出てもあわてないでください。一時的に出ることはよくあります。

他に症状はありますか? ・4~6時間は様子を見ても大丈夫
なるべく薄着にして水分をとって安静にしてみましょう。また解熱剤は絶対に使わないといけない、というものではありません

余談ですが…「何の熱ですか?」

熱の原因3大疾患
・感染症 ・膠原病(自己免疫疾患) ・悪性腫瘍
熱の出始めの時に判断するのは本当は至難の業
・カゼたと思います・・・・・・(^-^;)
・診断のために熱型が参考になることもあります

子育て豆知識

インフルエンザのトリビア

すぐに検査をしても診断できないことがあります。インフルエンザでも陽性にでません
12時間以降の方が信頼性はあります
予防が大切です
・予防接種をうけましょう
・予防接種をしてもかかります

治療の基本は、安静と水分摂取
・タミフルではありません
◇1歳未満は原則として使用できません
◇服用は48時間以内に(48時間待っても大丈夫!!)

咳嗽(がいそう)

咳の多くは生理的なもの
・ちょっとした刺激で出たり、痰を出すためだったり・・・・・・

咳は無理にとめない
・咳止めは処方しないことがほとんど
・痰を切る薬や、気管(空気の通り道)を拡げる薬を使います
咳をすると楽になりますよ。

腹痛

こどもは、よくおなかが痛いといいます
・おとなの頭痛や腰痛のようなもの?
他の症状がなければあわてなくてもいいです
・発熱、嘔吐、下痢、血便 などなど
おへその周りの痛みも心配ないことがほとんど

うんちをさせてみましょう
・これでよくなることが大部分

嘔吐

こどもはちょっとしたことで吐きます
・ストレス、食べ過ぎ、はしゃぎすぎ
・多くは大人の二日酔みたいなもの
少しずつ水分をあげてみましょう
・無理に飲ませなくてもいいですよ
・ゆっくりゆっくり・・・・・・

おしっこはでてますか?

下痢

原因の多くは感染性腸炎
・悪い病原体を体の外に出しているのです
・下痢を止めるのはかえって逆効果
・下痢止めよりも整腸剤
やっぱり水分補給が大事

●血便があったら注意してください

頭痛

こどもの頭痛は、頭痛の種・・・!?
しばらく安静にしてみましょう
他に症状はありますか?
・発熱、嘔吐 など

けいれん

熱はありますか?ないですか?
救急車を呼ぶ前に・・・・・・
・どのようなけいれんですか?

◇手足、意識、顔色
◇時間はどれくらいですか?
◇終わったあとの状況は?
あまり、緊急性はなさそう・・・・・・

発疹

原因は様々です
・診断に困ることも多々あります
・多くは、ウィルス感染か、アレルギー
・時間とともに軽快することも

あまり、緊急性はなさそう

あると助かる常備薬

ねつさまし(鎮痛解熱剤)、冷えピタシート
熱と痛みがあるときに使ってみましょう

浣腸液は、おなかが痛いときはまず便を見てみましょう。

市販の薬も意外と役に立ちます
・咳止めの薬や、かゆみ止めの軟膏 など 

気をつけたい嘔吐→病院へTEL

  • 髄膜炎
    ・発熱、頭痛を伴います
    ・赤ちゃんだと、泣かない、飲まない、動かない
    ・ひどくなければ、けいれんや意識障害なども
  • 腸重積
    ・主に6か月から2歳くらいの乳幼児が罹ります
    ・血便が特徴
    ・不機嫌に泣いたり、顔色が白かったり
    ・一刻を争います

気をつけたい嘔吐

点滴のお話

点滴のお話
  • 点滴は万能ではありません
  • どれくらいの量が入るかというと・・・・・・
    ・体重20㎏のこどもで
    ◇500mlの点滴に8時間強
    ◇200mlだと3時間強かかります
    ・体重10㎏だと
    ◇500mlの12時間
    ◇200mlだと5時間
  • 20kgのこどもで1時間に60ml(=ヤ○ルト1本分)
      10kgのこどもで1時間に40ml
  • 1時間に60ml(40ml)
     コンスタントに飲めれば大丈夫
    ・60ml(40ml)に1時間かけるのは、かえって難しい(>_<)

患者さんの望む小児の夜間医療

患者さんの望む小児の夜間医療

近くにあって・・・・・・
必ず小児科医がいて・・・・・・
医療水準は昼間と同じ


ごめんなさいm(_ _)m、不可能です・・・・・・
小児科医が少ないと、どれかひとつが犠牲になります

てあて

てあて
  • 文字どおり手を当てること
  • 痛いところ、悪いところを優しくさすってあげてください
  • 痛いの痛いのとんでけ~!
  • お母さんの手は一番の薬です
  • お母さんが安心すると、こどもが安心します
  • こどもが安心すると、お母さんも安心できます
小児科医からお願い

小児科医からお願い

できれば時間内の受診をお願いします。
・「朝から熱があって、座薬を使ったら下がったので様子を見てたんですけど、夜になってまた熱があがったので受診しました。」
・「昨日から咳があったけど、今日は元気が良かったので病院へは行きませんでした。夜になってもなかなかよくならず、寝れないからきました。」

当番医を上手に利用してください
・かかりつけの先生も気を悪くはしませんよ

まとめ①

子どもの症状はひとつひとつ重要な役割がありますが、共通していることは病気を治すためだということです。
熱や咳、下痢などお母さん方が心配になる多くの症状は、悪いものを体の外に出している自己防御反応だということをご理解ください。小さな体で病気と闘っている証拠なのです。

まとめ②

夜間の発熱
・無理に下げる必要はありません
・4時間~6時間くらいは様子を見ても大丈夫
・解熱剤があれば使ってみてもいいでしょう
・なるべく薄着にして水分をこまめにとりましょう
・3か月未満の赤ちゃんは要注意!!→急いで病院へ

腹痛
・おへその周りの痛みは心配ありません
・他の症状(発熱、嘔吐、下痢、血便)がなければあわてないで

まとめ③

嘔吐・下痢
・嘔吐は1~2日、下痢は一週間くらい続きます
・脱水に注意しましょう
・いっぺんにたくさん飲むのは逆効果
・涙やおしっこがでてれば大丈夫
・血便には要注意!!→急いで病院へ


・咳をして痰を出してあげましょう
・しばらくせき込んだら落ち着くことも多いです
・ぜいぜいしてたら急いで病院へ

子育て豆知識

非科学的ですが

小児科医からお願い

むかしむかし、まだ小児科医が少なかった頃、お母さんたちは、夜中に急に熱を出したこどもたちにリンゴをすって食べさせたり、うちわで体を扇いだり、頭にのせる氷のうや冷たいタオルを夜通し替えていました。こどもたちにとっていつもはこわいお母さんが、そのときだけはとても優しく見えて安心したものです。

不思議と、熱なんてすぐに下がってしまって、だけどこれ幸いと病気が治ったあともいつまでも甘えていたら、とたんにこわいお母さんに戻ってました。こうやって、母子関係ができていたような気がします。